最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)551号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔要旨〕証拠申請に対する採否の決定がなされたことにつき口頭弁論調書上明白な記載がないまま結審しても違法とはいえない。
〔説明〕証拠申請に対する採否の決定が口頭弁論調書上明示されないまま結審された場合においても違法でないとすることについては、屡次の最高裁判決の判示するところであるが、その理由とするところは必ずしも同一でない。たとえば、(1)昭和二四年(オ)第一三八号同二七年一一・二〇日第一小法廷判決(民集六、一〇一七頁)は、「原審が上告人のした鑑定申請の採否につき何等の決定をせず結審したとしても、その代理人が何等の異議を述べなかつた場合には、その申請を抛棄したものと解するを相当とする」とするのに対し、(2)昭和二四年(オ)第九三号同二七年一二月二五日第一小法廷判決(民集六・一二四〇頁)は「証人尋問の申請の許否が調書上明示されていないが、訴訟の指揮及びその経過に徴し原審は所論の証拠申請を取調の要なきものとして暗黙に排斥したものであることが窺われる」点にその理由を求めている。そして昭二八年(オ)第七二〇同三〇・四・二七大法廷判決(民集九・五八三頁)も、後者の見解をとるものと解せられ、今本判決も、前記(2)の判例を引用しこれと同一理由を判示しているのであるから、前記(1)の判決のとつている見解は自ら修正されたものと解して妨げないであろう。
(大場調査官)